今週末のアジア政経学会にて、公開分科会を開催します。
日経の四国版で報じていただきました。
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公開分科会:大平正芳の中国・東アジア外交(ラウンドテーブル形式/公開)
会場:総合教育棟(DRI棟)E11番教室
基調講演:井上正也(慶應義塾大学)
パネリスト
東南アジア:大庭三枝(神奈川大学)
韓国:鈴木壮太郎(日本経済新聞社高松支局長)
中国・ソ連:横山雄大(東京大学大学院博士課程)
中国:徐顕芬(広島市立大学)
企画趣旨:
今回の研究大会が開催される香川県出身の大平正芳は、戦後日本を代表する「保守本流」の政治家であった。この分科会では、その大平が総理大臣、外相の時代に追及した東アジア外交について考察するものである。登壇者は、今年3月に刊行された川島真・井上正也編著『大平正芳の中国・東アジア外交』(PHPエディターズグループ、2024年)の執筆者に、メディアで活動するアジア研究者、とりわけ開催地の高松のメディア関係者を加えた構成をとる。これによって専門分野の垣根を超えた、社会に開かれた「公開」分科会にすることができれば幸いだと考えている。
大平正芳は、軽軍備・経済中心を基軸とする池田政権以来の「保守本流」路線の担い手であり、憲法規範と日米安保体制を両立させる外交路線を定着させた政治家である。それと同時に、大平は大来佐武郎などのブレーンを重用し、「環太平洋連帯構想」や総合安全保障など特色のある外交構想を打ち出した。そのことからいわゆる「大平外交」の思想面について掘り下げた評伝や研究がこれまで多く登場してきた。だが、これらの研究には多くの課題が残されていた。それは、「大平外交」の分析が日米関係などを中心になされ、対アジア外交については実証研究が不十分な点である。また大平の外交思想と、実際の政策との関係性が必ずしも十分に論じられてこなかった。
上記の『大平正芳の中国・東アジア外交』はこうした課題に取り組んだものである。この分科会では同書の知見を踏まえつつ、大平が中国、韓国、東南アジア、太平洋をいかに位置づけ、どのような外交を展開しようとしたかを、昨今公開された各国の外交文書や私文書を踏まえて総合的に検討することを目指したい。
形式としては、井上正也が基調報告を行い、それを踏まえて各パネリストが報告する。そして、司会が井上を含めた各パネリストに質問して議論を行い、その上でフロアとも議論を重ねるという方法で進行する。
(企画責任者:川島真)