(1)上海市档案館新館
8月末に上海に行き、学会に参加しがてら、新しくなった上海市档案館の外灘新館に行った。ここには、「政府公開信息、档案文献資料査閲服務中心」がある。入ったら、右横にあるブースで登録をする(パスポートが必要、手数料2元)、そしてロッカーに荷物をおいて(1元コインを入れて、暗証番号を受け取る)、5階にあがる。カウンターに登録証を差し出し、目録について説明を受ける。目録は電子情報化されているが、検索が必ずしも完全でないので、「捜索引擎」などから丹念にあたる必要があろう。また打ち出した目録もあるが、租界档案(U)などはない。だが、解放後の档案の目録などもあり、研究の可能性を感じる。
閲覧には多少の不便がある。それは档案がまだ旧館に残されており、一日に数回新館と旧館を車が往復して档案を運んでいるからである。そのために档案申請時間が定められ、だいたい手にするまで二時間かかってしまう。新しく、完備された設備があるが、こうした面では不便が残る。複写申請はできる(今回複写申請はしなかったので、手続き概要は不明)。
政府の情報公開、という観点から、急速に公開が進んでいるようだが、まったく研究者に対する配慮が欠けている、という批判を大学院生や教員から耳にした。まだ今後を見守る必要があろう。
開館時間 9時~17時(档案部分、月曜日から金曜日)(但し、政府档案信息、展示部分は毎日)
住所 200002 上海市中山路9号
網址 http://www.archives.sh.cn/
(2)南京第二歴史档案館
今回、二史館関係者に会い、以下のような話を耳にした。
(a) 档案および档案情報のデジタル化を進めている。やがて档案をCDで閲覧できるようにしたい。目録についてもパソコン検索を実現したい。
(b)またHPを近々アップする予定である。そこでは最新動態を掲載し、また閲覧者がウェブを通じて申請できるようにし、従来電話やファックスでないと申請できなかった不便を補う。
(c)国家档案局から、中華民国史档案目録の作成を求められている。台湾のものも含めた目録を今後、作成していく予定。
(d)複写代金について、本国人と外国人の統一をはかりたい。
以上。このほか中国社会科学院近代史研究所が中国外交史史料集を大々的に編集する計画を立ち上げるなど、さまざまな動きがあった。中国学界は動いている。
川島 真