JFE21世紀財団・2005年度アジア歴史研究助成・共同研究
2006年2月1日/ 於北海道大学公共政策大学院
●研究組織
研究代表者 川島 真 北海道大学公共政策大学院・法学研究科(兼任)・助教授
共同研究者 中川寛子 北海道大学法科大学院・助教授
中村元哉 日本学術振興会特別研究員(東京大)
●助成金の支出計画
書籍・文書費 250 書籍費150、文献・文書複写費100
設備・備品費 200 パソコン購入費200
学会・調査旅費 650 学会(中国1、台湾1)、調査(中国、台湾各1、国内)
研究補助者謝金 300 アルバイト雇用(資料整理、調査補助)300
その他 100 文具費など消耗品100
●経費の支出方法と使用計画
[経費支出方法]
経費全体1500千円、現在北海道大学に「寄付」されたかたちとなり、川島の委任経理金となっている。
中川先生→通常の科研と同様に支出。 中村先生→使用に際しては川島を通して支出。
お二人とも使用にあたっては一応川島に連絡ください。(メイルCCなどで十分です)
次年度10月の川島の異動以降については未定。
[経費使用の目安]
個人研究費用として300千円×3を計上。但し、上記の支出計画に留意する。
そのほか、10万円を会議費(今回の研究打合せなどに使用)、50万円をワークショップ費用などとして計上。
●この共同研究のねらいと期待される成果→研究概要参照
● 各参加者の研究計画
川島「東アジア近代における外国人の通商活動規制とその撤廃」
「東アジア近代における海事制度形成とその問題点」
中川「WTO等、国際的経済活動に関するルールと東アジア域内問題」
中村「戦前以来の東アジアにおける知的財産をめぐる問題」(いずれも仮テーマ)
●ワークショップの可能性
(1) 時期: 2007年1-3月??あるいは2006年12月
(2) 規模: 報告者4名程度
(3) 招聘候補者
●成果公表の方法と今後の可能性
論文集の刊行か?それとも個別発表か。
うまく成果がまとまってくれば、大型の経費申請へ。
(2)研究概要
研究背景・目的・意義 政経分離を秩序の原則としてきた東アジアでは、経済関係が緊密化する中で、政治面では冷却化現象がおき、問題が噴出している。こうした中で求められているのは、政治で問題が発生しようとも、安定的に実際の通商・経済活動を機能させ、ひいては政治的対立が関係全体に波及するのを防止し、部分的対立へと局面化かさせていくような、秩序の形成であり、それこそが共存・共生への「底線(ボトムライン)」となろう。その秩序は、安全保障や文化交流などによっても形成されようが、最も求められているのは、政治領域と通商経済領域を架橋する、具体的な問題解決・問題噴出のための国際公共行政の場、そこでの枠組みであろう。ここでは、通商、海事、ヒトの移動、衛生、防疫、犯罪者引渡、環境問題といった問題が実質的に議論され、問題噴出を防ぐ装置が意識的に創出されることが期待される。だが、こうした問題は発生してから事後的に手当てされることが多く、「枠組み」「装置」の創出については、なかなか進まない。その一つの背景は、そうした場や枠組みをイメージしにくいことにある。そこで本研究では、(1)実際には東アジアで試行錯誤の中で(無意識に)存在していた、問題処理の過程を歴史的に浮かび上がらせ、(2)そこでは何が問題となり、交渉の中で何が解決され、逆に何が障害として残ったのかを明確にし、成果を公表しつつ、(3)東アジア国際公共行政史研究の可能性を提示し、今後の研究領域形成の契機とすることを目的としたい。
研究経緯等 東アジア研究では、こういった国際公共政策史、国際公共財研究史は分野として決定的に欠如している。しかし、ここでチームを構成する三者は、その問題の重要性を意識し、それぞれ川島が『中国近代外交の形成』(サントリー学芸賞)、中川(経済法、WTO研究)が『不当廉売と日米欧競争法』(横田正俊記念賞)、中村(東アジア政治)が『戦後中国の憲政実施と言論の自由 1945‐49』といったように、個別的に東アジアにおける通商・ヒトの移動を意識した研究を進めていた。そこでの問題関心は、それぞれが「不平等条約体制下 東アジアにおける外国人の法的地位に関する事例研究」(科学研究費)、そして「新世代知的財産法政策学の国際」拠点形成」(21世紀COEプログラム)といたプロジェクトに関わりを持つ中で形成してきたものであるともいえる。
何をどこまで研究 期間、人員ともに限定されていることを考慮し、ここでは特に貿易・関税・海事・運輸・知的財産などの通商をめぐるルール、そしてビザ・法的権利などのヒトの移動をめぐる東アジアの秩序形成に注目し、それらが19世紀末以降いかに形成され、試行錯誤を重ねてきた、そこでは何が問題になり、何がどこまで実現し、どの点で調整できないできたのか、またそこでの日本の役割について、歴史的、法的、外交史的に解明したい。
アピールポイント (1) 政治と経済において遠心力が強く働く東アジアで、問題の噴出を防ぎ、問題を解決する装置としての場を研究する、「東アジア国際公共行政史研究」というフィールドを構想すること、(2)歴史学、法学、政治学が長期的なスパンの中で、より実質的な議論をおこなうこと、(3)中国政治史研究者、日中関係史研究者、日米経済研究者でチームを組み、相対的な視点で日本を見据え、その中で日本の役割を考えようとすること。
研究の実施計画・スケジュール
2006年1月 研究打ち合わせ(於 札幌)・・・国内旅費 → 役割分担、テーマ、作業日程確認、ウェブサイト立上げ
川島「東アジア近代における外国人の通商活動規制とその撤廃」、同「東アジア近代における海事制度形成とその問題点」、中川「WTO等、国際的経済活動に関するルールと東アジア域内問題」、中村「戦前以来の東アジアにおける知的財産をめぐる問題」(いずれも仮テーマ)
⇒ 個別・共同調査。情報はウェブサイトに。…海外旅費、設備・備品費、書籍・文書費、謝金など利用
2006年10月 研究成果の読み合わせ(研究会の開催。公開することを想定、論文スタイル)…国内旅費
2006年12月 研究成果の公表(学術雑誌などを中心とする媒体で成果を公表。パンフレット化も検討する)