朝、本をまとめて郵便局に持って行き日本に送る。18キロ。350元。10時半に王暁秋先生と待ち合わせる。まず黄遵憲のこと。黄は「人鏡蘆」という書斎を開いたことで知られるが、実は同じ梅県客家の何如璋も同名の書斎をもつ。何のほうが早いのだから、黄がまねたということか。次に、千歳丸。そして、外務部档案の状況について。これは第一歴史档案館に保存されながら一向に整理が進まないものである。今のところオーストリアのものがまとまり、史料集として出版されている。次はスペインとポルトガルになるという。これらの国が優先されたのは、分量が少ないからである。イギリスや日本、アメリカについては後回しになっている。こちらから、オーストリアの史料集を台北に持って行き台北に有る外務部档案との比較ができないかと言うと、実は出版された史料集もすべてを採録しているわけではなく選んでいるという。そうなると対照研究は難しいか。日本のものについては、おそらく12冊になるという。これを担当する研究者が王先生である。いまのところ、問題は経費と手続き。経費について、1冊当たり1万米ドルかかるという。そうすると12冊で1500万円程度はかかってしまう。また名義の上で、あくまでも政府のものなので、名義として第一歴史档案館と北京大学の共編で出すことになり、日本側が援助しても名前が出ないという問題がある。この二点が難点である。東京の私大は名義の問題で断念し、関西の私大は経費面で断念したらしい。このあたりについても何か探れないか。このほか、王先生の学生さんの研究テーマなどについて。とうとう日露戦争をやる学生が出てきているという。驚きである。日中関係史はやはり王先生を一つの軸として動いているという印象。今後、日中関係史研究フォーラムなどを開いていけないかと提案した。なお、史料について、汪栄宝日記などについて聞き、何とか複写して持ち帰る算段をたてることにした。
11時半に歴史学系に戻り、張建華副教授に会う。彼とは2002年に台北で会った。彼は1850年前後の中国外交について研究するが、最近は中国における不平等条約認識の起源について研究している。昼食をとりながら意見交換をした。彼は最近、研究拠点を欧州に移しており、そこでの体験が中心。国際連合図書館の史料のこと、スイスでの生活、WTOをめぐる中台関係、スイス政府が台湾にWTOへの代表処オフィス設置を認めたこと、フランスでの反中感情など、いろいろな話題がでる。また中国のメディア論、言論の問題なども。拙著を彼のスイスの居宅に送ることに。
3時に拙著の中国語訳者の候補の方に会う。茅先生ご夫妻からのご紹介である。既に訳書もある、とても立派、かつ有能と思われる方。おそらくは共通の知り合いが多そうである。話がうまくいけばと願うが金銭的な問題になると厄介か。
5時に北海道大学、また他の国立大学から北京に派遣されている事務官の方々を待ち合わせ。食事に行く。帰宅後は、週末の日露戦争シンポの資料の準備。那桐日記を打ち込みながら、鄒嘉来日記と比べる。露清密約の件、那桐日記にはあるが、鄒日記にない。那桐日記には鄒も同席したとあるのだが。