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鹿児島大学総合図書館資料調査報告

川島 真

 2004年1月28日―29日にかけて鹿児島を訪れた。鹿児島街並みからは、明らかに戦前に多くの投資がなされたことがうかがえる。普通の県庁所在地ではない。今回の調査目的は、鹿児島高等農林の蔵書である。2月に山口大学でおこなわれる旧高等商業系の蔵書に関するワークショップに向けての準備という要素もあり、また北海道大学農学部農業経済学科図書室にある蔵書との比較という要素もあった。

 台湾大学同様の椰子の木のキャンパスである。案内をしてくれたT.Oさんは旧知の間柄である。今回は、彼だけでなくK.K先生とも久しぶりにお会いできて本当に楽しかったが、図書についても十分に堪能できるものであった。高等農林の蔵書は、農学部ではなくすでに総合図書館に置かれているが、「文庫」などとなっているわけではない。ただ図書類は4階の集中書架(移動式書架)のスペースにまとめられていて、およそ10連(各5-6段)程度の和書と、同じく10連程度の洋書があった。これらは決して他に比べて特徴的なものとは言いがたいように思う。他方、地下一階で、すでに他のものと同様に分類されている雑誌類については、特徴的で、注目に値するものも多かった。中でも、台湾の農林関係、糖業関係の雑誌、そして日露戦争関連の画帖類には目を奪われた。以下、特にメモしたものを列挙しておきたい。

《鹿児島高等農林学校蔵書》
●台湾関係
『南支那及南洋情報』(台湾時報発行所)
第一年第一号 昭和6年1月1日、隔週刊行(1日、15日)→1937年まで揃い。
『台法月報』大正元年から昭和13年
台中州農事試験場『業務年報』昭和9、12-17年
『台北農林学会報』昭和11年から18年
『台北州農事試験場 農事試験年報』昭和4-19年
『台南農事試験年報』昭和2-4年
『台南州立農事試験年報』昭和13-17年
『台湾貿易月表』『台湾人口動態統計』『台湾農事報』
『台湾の水利』『台湾山岳』『台湾青年』『台湾農業試験所彙報』『台湾農事試験場特別報告』
『台湾糖業統計』『臨時台湾糖務局年報』
『台湾総督府民政局殖産報文』『台湾中央研究所林業部報告』
『台湾総督府学事年報』『台湾総督府専売局事業報』
『糖業』(台湾糖業研究会)
第四年第九号 1918年9月15日(月刊)
…第七年まで(1921年12月)
●朝鮮関連
『朝鮮』昭和5年―16年、『朝鮮林業』1-6号(昭和18年)、『朝鮮農会報』18-6~12(昭和18年)、『朝鮮総督府報』(明治45年―大正3年、『朝鮮彙報』に改称、大正9年まで)、 『朝鮮彙報』(大正八年・月刊、二月号 国分三亥「支那司法制度及帝国領事裁判の現況」)、
●中国関連
『中国研究所所報』第2号~第4号、第11号、ガリ版
第2号、1947年5月10日
第3号、1947年6月10日(米沢秀夫「中日貿易の回顧と展望」、米沢秀夫・田所豊「戦後中国の輸入貿易管理」、川崎正雄「中国第三勢力諸党派の分析」、
第4号、1947年7月10日(赤間英夫「民主社会党の主張について」)
第11号、1948年3月31日
第14号、1948年6月25日(増田米治「中国の日貨排斥運動」)
『季刊 中国研究』(中国研究所編、日本評論社より刊行)
第2巻 1947年11月
第4巻 1948年6月(「ユネスコと中国」)
第6巻 1949年1月(「中国の国立中央図書館」)
第10巻 1949年11月(特集・新中国をどう見るか)
『大陸開拓』(満洲国立開拓研究所、1-9巻、康徳8-11年
●満洲関連
『読書会雑誌』(第7巻8号 大正9年8月 大正15年まで
南満洲鉄道会社読書会編輯(→満洲の文化について多くの記事あり)
『蘇聯月報』(満洲国外交部北満特派交渉署)
康徳3-4年(月刊、ただし3年1号のみ欠)
●日露戦争関連
『軍国画報』(富山房発行)
第一年
第1巻 明治37年4月3日
第3巻 明治37年6月3日
第4号 明治37年7月3日
第5巻 明治37年8月3日
第6巻 明治37年9月3日 30頁 「戦場のもの拾い」(鳳凰城、杏林子)
第7巻 明治37年10月3日
第8巻 明治37年11月3日
第9巻 明治37年12月3日
第二年第1巻 明治38年1月1日
第2巻は欠如
第3巻 明治38年2月3日
第4巻 明治38年3月3日
第5巻は欠如
第6巻 明治38年5月3日(「満洲人の芝居」(写真)、「分割に非ずして清国を小さくする法」(「警世叢話」)
第7巻 明治38年6月3日
第8巻 明治38年7月3日
第9巻 明治38年8月3日
第10巻 明治38年9月3日
第11巻 明治38年10月3日
『帝国画報』(富山房)第二号、明治39年2月
上海会審衙門事件の写真あり
『日露戦争実記』(市来文庫?博文館発行)
第2号 明治37年2月27日
第3号 明治37年3月3日
第4号 明治37年3月13日
『日露戦争写真画法』(博文館)
第2巻 明治37年5月8日(原則月刊、時に隔週刊)
→「風景」としての中国人、中国の土地、モノ
…第40巻 明治38年12月18日
●ラジオ関連
『電信電話学会雑誌』 第41号 大正13年11月~大正12年まで
→ラジオ関係の記事あり
●そのほか
『文明協会ニューズ』第一輯、1928年
有田八郎「支那租界の過去現在及び将来」など。
この雑誌は、文明協会が毎年月刊で出しているもの。昭和3年から昭和8年の一号まで。
『人口問題』昭和10年から、人口問題研究会
移民問題、殖民論などの議論
『缶詰時報』(缶詰普及協会)
第1巻第1号 大正11年8月10日
第1巻第2号 大正11年9月20日
高崎達之助(東洋製罐株式会社)「台湾鳳梨缶詰事業の将来」
第1巻第3号
第1巻第4号
第1巻第5号 大正11年12月20日
第2巻第1号 大正12年1月20日

第2巻第8号 大正12年8月20日
第2巻第9号 大正12年10月20日(大きさ装丁変更)

第4巻第2号 大正14年2月20日
高崎達之助「台湾鳳梨缶詰業政策」
第4巻第3号 大正14年3月20日
星野佐紀「支那缶詰の起源及び発達並に缶詰食品業の現況」
「支那の缶詰需給状況」(←上海日本商業会議所報より転載)
第5巻第7号 大正15年7月20日
岡崎仁平(台湾鳳梨栽培株式会社)「鳳梨に就いて」
星野直太郎(東洋製罐株式会社高雄工場)「台湾鳳梨に就いて」
第6巻第2号 昭和2年2月20日
「上海に於ける魚類缶詰」
第6巻第4号 昭和2年4月20日
「天津地方缶詰需給状況に関する件」
ここまで。
『内外調査資料』→これは有名な史料。リットン報告書あり。
『農村更正』昭和11~13年(農村更正協会)数々の満洲移民関連記事あり
『上海自然科学研究彙報』散、1929年から1944年
『司法研究報告書』
第二輯第三号(昭和24年10月)
司法研修所『日本に存在する非日本人の法律上の地位(特に共通法上の外地人について)』
⇒戦後間もない時期の国籍問題を明らかにしている。
『ツーリスト』(大正3年―14年)

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