第10回講義 2001年7月3日
アジア政治論講義ノート
テーマ:環境
0時事関連
1歴史的に見た中国環境
(上田信『森と緑の中国史-エコロジカル・ヒストリーの試み』岩波書店、1999年)
■華北~砂漠化の進行~
河が黄河にかわった戦国時代(史念海)
⇒謡われている「澄んだ」黄河の姿
(歴史的な「常識」が覆されることもしばしば。由比ガ浜と由比ガ浦。)
☆ どうして戦国時代なのか。
遊牧民と農耕民
(騎馬と移動の原則、遊牧民地域は砂漠化しない。牧草地は森林の周辺に形成される)
明代における華北開発
北京における首都建設、そして長城の建設、さらに15世紀に数百里焼き払い
そして浸食谷の広がる映画《黄色い大地》の世界へ
黄河の干上がり、そして大治水事業計画
■華中
大象と「虎」に関する記録から見た森林の消滅と気候変動
【参考】象の生息条件:体重を維持するのに必要な大量の食料・飲料水・直射日光を
遮る広く平坦で深い森林。これを消滅させた14世紀以降の気候寒冷化(小氷
河期)と1230年代以降現代に及ぶ乾燥化
【参考】虎の成獣20~100ha森林が必要。これを守るべく人間を襲う「人食いトラ」
の記録
宋代における江南開発(扇状地) ⇒ ヒトとトラの遭遇の機会増加
明代には税としてトラの皮
1949年、村には森林とよべるものはなくなっていた…
2現代中国の課題と政治外交的パースペクティブ-「環境問題の百貨店」-
中国の森林被覆面積は?(日本は67%、世界平均は22%)
■内容別
大気環境 ⇒ 二酸化硫黄、煤塵ともに増大傾向 ⇒ 生態系の酸性化
※ 自動車の輸出、公害対策の無い車の群れ
水環境 ⇒ 治水の伝統
水資源量が世界平均の7分の一という低水準
下水などの未整備による汚染、汚濁 ⇒ 水銀汚染
洪水と旱魃の双方の危険
エネルギー ⇒ 使用量の増加
■ 対策は?
1979年、「環境保護法」を試行
しかし、経済優先政策・政策的な問題(技術開発と環境対策がセット)・郷鎮企業
の問題・都市化・環境政策
⇒ 持続的な発展は構想できるのか?
「緑の革命」にともなう変化(有吉佐和子『中国レポート』新潮文庫)
石炭から石油へというエネルギー転換は可能か?
そして何よりも人口増加 ⇒ 限界人口16億人?
《アナウンス》
※評価について ⇒ レポートで評価。課題は今週中に掲示する。
※「外交を考える学生シンポジウムin北海道」
(日本外務省、日本外交協会主催、7月10日(火)、ホテル・ライフィート札幌
要申込、事務室前掲示板)⇒今週中まで受付延長、特にNGO。