第6回講義 2001年5月16日
比較政治論講義ノート
テーマ:韓国政治Ⅱ
■ 時事関係
プリント参照。今晩のクローズアップ現代。
■ 歴史過程
1945年8月15日 日本敗戦、朝鮮半島はアメリカとソ連の軍政下におかれる。
(1)第1共和国/李承晩政権
1948年5月10日 李承晩政権の誕生
⇒一君万民体制的/経済面での混乱、新興資本家層との特殊な紐帯/対日優位、反北朝
鮮、対米依存
1950年6月25日 韓国動乱/朝鮮戦争勃発 ⇒ 反共的「分断体制」の確立
(反日的なナショナリズムは温存)
李承晩という強力な指導者の君臨/民衆はナショナリズムによる動員と統制の対象
に転化/国家機関および官僚制は指導者に「奉仕」/野党は指導者への批判力を喪
失した衛生的な政党となる
⇒韓国における「権威主義体制」
⇒李承晩政権による動員、反共符号の独占、権力強化/反共への動員、李政権への帰依
/議会における与野党逆転、憲法改正による大統領再選(52年)
⇒アメリカからの支援
1953年10月 韓米相互防衛条約 ⇒ 米軍の駐留開始
50年代を通じて約20億ドルの無償援助
⇒アメリカとの対立の顕在化
アメリカの対東アジア政策の変化、日本のプレゼンス
⇒ハルシュタイン・ドクトリン
1958年選挙における与党自由党の敗北
(2)第二共和国・張勉政権(1958年8月23日~)
ある種の難しい局面に。内政の混乱、対外宥和の失敗など。
(3)第三共和国・朴正熙政権
1961年5月の整軍派クーデタ、12月に朴政権成立。
反共的権威主義体制(民衆の政治参加は限定される)
国家意識の強化
開発独裁
自由主義諸国との提携強化と分断主義体制の深まり
☆政府主導の開発政策の推進
経済的な自立=ナショナリズムへと結びつく
内包的な工業化ではなく、輸出志向工業化 ⇒ 日米両国との良好な関係が前提
⇒ある意味で典型的な開発独裁の問題点がうまれる
(4)第四共和国・朴正熙政権(「維新体制」)
1971年12月6日 国家非常事態宣言
1971年12月27日 維新憲法
【背景】1969年7月 グアム・ドクトリン(ニクソン大統領)
1971年2月 ニクソン・ドクトリン(対中対話、ヴェトナム戦争終結へ)
アメリカの緊張緩和政策 ⇒ 朴にとっては政権の危機 「分断体制」強化へ
1969年から70年にかけての経済成長率ダウン
中間層の成長/都市と農村
1971年総選挙・大統領選挙における野党の躍進
【参考文献】
池明観.1995.『韓国 民主化への道』岩波書店
孔星鎮.1997.「韓国政治のダイナミズム」
(孔星鎮・川勝平太編『韓国の政治』早稲田大学出版部)
森山茂稔.1998.『韓国現代政治』東京大学出版会