2003年 4月11日
第ニ回講義
アジア政治論講義
(質問などは質問票に記入ください。授業が終わった後にいらしてくださっても結構です)
0.時事関係
近代国家と大国
1.国内改革を再優先課題とする中国
資料
「国家と人民のために」胡錦濤主席が抱負
(人民網HP http://j.people.ne.jp/2003/03/20/jp20030320_27201.html)
第10期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が18日午前、人民大会堂で閉幕した。胡錦濤国家主席は閉幕式の演説で、「複雑で変化の激しい国際情勢、国内建設の任務という極めて厳しい新たな情勢の下、大きな責務を担っていく」と述べ、人民が与えてくれた神聖な職責を履行し、各民族の監督を謙虚に受け止めていく姿勢を示した。胡錦濤主席は与えられた職責を果たすための抱負として、次の4点を挙げた。
(1)民主主義を発揚し、法律に基づいた行政を進める。党の指導、人民主権、法治主義の有機的統一を堅持するとともに、社会主義民主主義の制度と原則を守り、社会主義法制の統一と尊厳を維持していく。
(2)祖国に忠誠を尽くし、人民のために尽力する。国家と人民の利益をすべてに優先させる。
(3)中華民族のすばらしい伝統を発揚・継承し、先輩指導者らの崇高な人徳、自己満足と怠慢を否定する精神を学習・発揚する。
(4)己を厳しく律し、不正に走らず人々に奉仕する。謙虚な姿勢と困難に立ち向かう精神を堅持し、国家と人民のために職務に励む。 「人民網日本語版」2003年3月20日
資料
温家宝新総理が国務院第1回全体会議で演説を発表
人民網http://j.people.ne.jp/2003/03/22/jp20030322_27281.html
国務院の温家宝新総理は21日午前、国務院第1回全体会議で演説を行った。会議では国務院指導者の役割分担を決めるとともに、「国務院工作規則」を採択した。温家宝総理は演説で「今期政府の任期となる5年間は、小康社会(いくらかゆとりのある社会)の全面的建設に向けた初期段階であるとともに、重要な段階でもあり、光栄な任務だが責任は重い」と強調。国務院のスタッフに対しては、「胡錦濤同志を総書記とする党中央の指導の下、憲法と法律によって付与された職責を忠実に果たさなければならない」と述べ、党や人民の信頼に背いてはならないと強調した。 温家宝総理は今期の任務について、
(1) 鄧小平理論と「三つの代表」思想に基づき、中国共産党第16回全国大会の精神を真剣に実行に移し、小康社会を全面的に建設、社会主義現代化の推進を加速する
(2) 発展を第一任務とし、経済建設を中心に引き続き改革を推し進め、対外開放を拡大、社会主義市場経済体制を徐々に整備し、経済構造の戦略調整を加速させる。科学教育による国家振興戦略と持続可能な発展戦略を実施し、新たな工業化の道を歩み、国民経済の高成長と健全な発展を促進し、人々の生活水準を高めていく
(3) 改革発展の安定した関係を正しく処理し、社会の安定を全力で維持する
(4) 民主法制建設と精神文明建設、政府機構建設を強化し、社会主義の物質文明、政治文明、精神文明の調和的発展を促進し、中国の特色ある社会主義の偉大な事業を全面的に推進する――の3点を挙げた。
温家宝総理はそのうえで、「新政府は新風を吹き込まなければならない」とし、そのカギとして(1)科学的、民主的な政策決定を行う(2)法律に基づいた行政を行う(3)行政に対する監督を強化する――の3点を推進していく必要性を強調した。 全体会議には、黄菊、呉儀、曽培炎国務院副総理、周永康、曹剛川、唐家セン、華建敏、陳至立国務委員らが参加した。 「人民網日本語版」2003年3月22日
⇒参考 「三つの代表」
「三つの代表」とは、1,先進的生産力の発展要求、2,先進的文化の前進方向、3,中国の最も広範な人民の
根本利益、これら三つを代表するのが中国共産党であるとする考え方で、新時代の中国共産党が現状の中国
における執政党としての位置付けを強化するものと考えられている。
2.特に重視される経済建設
◆経済大国になるはずの中国。- 欧米発の「中国脅威論」。
世界銀行・IMF・イギリス国際戦略研究所
IMF「人民元の購買力から算定すると、アメリカ、日本に次いで世界第3位の経済規
模をもっている。」(1993年)
イギリス国際戦略研究所「香港、台湾を加えた中国経済圏は、2002年には、米国、日
本を抜いて世界最大の経済規模になる可能性がある」(1993年)
世界銀行の報告書 Global Economic Prospects and the Developing Countries
2002年には購買力平価で評価された中華経済圏の市場規模は9兆8000億ド
ルとなって…日本の2倍になる(1993年の予測)
⇒一方で冷静に!という議論
Foreign Affairs 99年9月号「中国を過大視するのはやめよ」Does China Matter?
ジェラルド・シーガル(ロンドン国際戦略研究所ディレクター)
中国は、経済、軍事、政治のあらゆる面で過大評価されている。国際社会であた
かも大国であるかのごとく振る舞う中国は、世界中にそれを真実だと信じ込ませ
てしまう舞台巧者だ。グローバル経済における重要度はブラジルと同程度にすぎ
ず、軍事的にも大国とはいえず、中国の脅威といっても地域的なものにすぎな
い。また、政治的にも他国を魅了する要素もなく、相互依存に懐疑的な唯我独尊
の国として敬遠されている。したがって、欧米諸国は、中国は潜在的な戦略的パ
ートナーとして重視すべきだとか、中国市場で見込まれる利益は他の問題よりも
優先されるべきだという幻想を捨てねばならない。
今後欧米は、「対中抑制(constrainment)」という新しいアプローチをとるべき
であり、望ましくない行動を抑制することを躊躇してはならない。中国を単なる中
級国家であると認識することが、問題解決の出発点なのである。
◆では「中国」はどうなっているのか。
実のところ、昨今「経済建設の正念場」とか、失業率10%突破というネガティブなニュー
スを耳にすることが多い。
中国にとって、「経済」は社会主義市場経済という中国共産党が採用した「社会主義」モ
デルの正否を決めるものでもあるとすれば、これは政権の正当性と密接に関わる問題
である。
◆中国の概要を知っておこう
・地形 960万平方キロ。 日本の25倍。/国境を接している国々の多さ。
・地形の特徴(図1、2)/気候を含めた自然区画(図3、図4)
・行政区画(図5)/民族分布(図6,7)
・人口(図8-12)
◆次回予告-経済-(OHP)
【参考文献】
渡邊利夫ほか編『図説 中国経済』<第二版>(日本評論社、1999年)
Robert Benewick & Stephanie Donald, The State of China Atlas, Penguin Reference,1999.
資料(中国情報局 http://news.searchina.ne.jp/2003/0410/general_0410_001.shtml)
中国:『白書』で都市部と農村部の格差拡大を警告 発信:2003/04/10(木) 10:30:01
『中新網』9日付報道によれば、昨年の中国都市部と農村部の1人当たり所得は前年の2.89:1から3.11:1に拡大しており、所得格差は更に大きくなったことを受け、このたび出版される『農村経済白書-2002-2003年中国農村経済情勢の分析と予測』では、中国の農村地域の中国全体の消費市場における地位が断続的に下降していると警告している。同書は中国社会科学院農村発展研究所と国家統計局農村社会経済調査総隊が共同で作成しもので、農村経済の情勢やその成長、予測の年度分析報告であって、今年で11回目となる。同書は2002年の中国農村経済情勢の諸特徴として、農業の構造調整は継続的に進展してきており、成果が表れていること、また主な農産物価格が全体として低迷を続けており、ある成長指標では前年を上回っているものの、農村経済の国民経済全体に占める割合は下降傾向にあることなどを指摘している。2002年農村地域におけるGDP(国内総生産)シェアは49.2%となり、前年よりも0.7ポイントの減少となった。2002年の全社会消費財小売総額は4兆元の大台を突破し、前年比8.8%増を実現したが、いわゆる農村地域での成長は6.8%に止まり、都市部での10%成長と大きな開きがある。まら農村地域の同小売総額に占める割合は36.7%に止まり、前年と比べて0.7ポイント減少している。農村地域の消費が低迷しているのは明らか。同書では、この原因を農民の所得水準の低迷、かつその成長も緩慢であることを挙げている。所得格差の拡大が農村地域の市場における消費成長を相対的に抑制していると分析している。(編集担当:有田直矢)
5.アナウンス
(1)チューター募集(中国人学部学生のチューター)
(2)アルバイト募集