第9,10回アジア政治論質問・回答
川島 真
◆【授業の方法について】
ゲスト講演はよかったので、あと一回くらいやってほしい。(学部4年)
⇒ゲスト講演については、尾崎先生にモンゴルについて、池さんに韓国について話していただきました。あとひとかた御願いするつもりです。
テストについてですが、3つくらいテーマがあって、好きなものを選べるといいです。
(学部四年)
⇒そうですね。選択制にしてみたいと思います。なお昨年度の試験の問題や解説は小生のHPに出ていますので御参照下さい。
◆【第九回目の授業内容】
一人っ子政策について、もし一人っ子どうしが結婚したら、二人生んでいいのではなか
ったでしょうか。(学部三年)
⇒確かに一人っ子政策にはさまざまな特例が認められています。御指摘のように、一人っ子どうしの場合には、99年以降「一人っ子」という原則が外されましたし、これまでも養子縁組の場合や少数民族、農村部の漢族についてこうした特例が認められていました。しかし、都市部の漢族に限った場合、実際には「一人っ子」にならねばならない事情もあります。それは教育費用をはじめとする子どもに係る諸経費が一人っ子を原則として算定されているため、二人を育てるためにはよほどの資産家でなければできないという構造になっています。また、2000年11月には、人権尊重の観点から国際的な非難を浴びてきた現在の一人っ子政策を2010年に見直し、子供を二人まで認める出産制限の緩和をおこなうということが報じられました。実際、昨年、中国は地方などですでに実施されていた「一人っ子に拘らない」という規定を中央の法規におりこむなどして、対応を軟化させています。そうした意味では、授業で申し上げたような「一人っ子社会」の問題は、あと20年もすれば多少は緩和されるかもしれません。中国の人口問題については、日本の若林敬子先生の著作(岩波新書など)を見ればいいかと思いますが、「中国人口計画与(と)計画生育」のサイトを見ると、リアルな情報が出ています。http://www.sfpc.gov.cn/cn/index.htmこのサイトは、国家人口与計画生育委員会が作成している公式サイトです。
中国を等身大に見られないという話があったが、中国について研究するうえで、日本人が研究する場合は、他の国の研究者が研究する場合と違い、弊害があったりするのか。また等身大に見ることができないのは日本特有なのか。それともそのような国は他にもあるのか。
(学部四年)
⇒ご指摘ありがとうございました。前回の授業でご意見を反映させるかたちで講義いたしました。歴史的な経緯、漢学、日本近代とアジア、日本型オリエンタリズムなど複雑ですね。
◆【第十回目の授業内容】
人民に知識階級が含まれるかはっきりしなかった。(不詳)
人民の定義を詳しく知りたい。(学部4年)
⇒説明がわかりにくかったかもしれません。憲法前文をもう1度みてください。前段では「工農」を「人民」としていることからもわかるように、「人民」は一種の階級概念なわけです。ですから「人民独裁」は「人民の非人民に対する独裁」として位置付けられます。ところが後段になって、「社会主義の建設という大きな仕事は、労働者、農民及び知識分子に依拠し、団結できるすべての勢力を団結しなければならない」と、突然「知識分子」が出てきます。「人民」ではないけれど、「社会主義建設」のための基幹となる存在ということになります。「労働者、農民」と区切られるように「及び知識分子」とされているのは、一応必要なものとして位置付けるが、「工農」と同等ではないということを示すためでしょう。つまり階級的に不安定であることを示していると考えられます。
全人代が凄いとのことなのですが、実際どれくらい権力を握っているのか具体的に知
りたいです。(学部四年)
⇒これは次回の講義できちんと説明します。
中華人民共和国憲法の和訳についてですが、前文を見る限り、先生のおっしゃったのと同じような訳はここにありました。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/4550/china-kenpou.html
個人の方の訳のようです。一応1999年3月15日修正(「毛沢東思想及び鄧小平理論に導」となってました)ものっていたので最新版だと思うのですが、これであってるのでしょうか。最新新経済関連法もあり、有用かと思ったのはここですが…
(http://www.cnjp-trade.com/japanese/consult/law/)
有償というのは学生にとっては「…」でした。 (学部4年)
⇒便利なHPを紹介していただいてありがとうございます。訳をすべて確認したわけではないですが、参考になるものと思います。
日本の憲法では考えにくいことですが中国の憲法は前文も含め、細かな修正をして
いっていることがわかりました。こういうことができるのなら、台湾問題も憲法を修正す
ることで現実的な対応をしていく余地はないのでしょうか? (学部4年)
⇒「台湾は、中華人民共和国の神聖な領土の一部である。祖国統一の大業を成し遂げることは、台湾の同胞を含む全中国人民の神聖な責務である」という憲法前文における表現をあらためるとして、たとえばどのようにあらためましょうか。「台湾同胞の意思を尊重して」などという文言をいれることにしますか?北京は、すでに台湾が独自の軍隊をもっていいというところまで言い出しており、「極めて高度な自治」を認めるとしています。しかし、憲法に掲げている内容は否定しようのない一線として敢えて残している部分だとも言えます。「独立の可能性を問うような住民投票」、「あらゆる独立活動」について敏感に対応している中国ですから、「独立」ぬきに対話をおこなうことは現在では困難だと思います。「関係の緊密化」「交流拡大」というところまでが合意の限界と思われます。
中国では学生でも共産党の幹部になれるのですか?日本では党員が(少なくとも
同世代)学内にいるというのは、あまりないことだと思うのですが。初歩的な質問で
すみません。 (学部三年)
⇒日本でも「党員」の方は大学生でもいますよ。いまはとても減少していますが。中国では、「優秀」な学生が「党員」になることが一般的に見られます(時々拒否する人もいますが)。中国の学生は教育を受け初めて以来、ずっと素行や成績がチェックされ、小学校から「褒賞」がおこなわれています。大学に入ると、「党員」になり、大学の「共産党青年団支部」に組みこまれる人達が出てきます。しかし、クラスの中の学業成績だけでそれが判断されるわけではなく、クラス内部には「一見見えない党的序列」と「学業などの実質的な序列」の双方が(時には重なりますが)形成されることになります。ただ、いまの学生にとって「共産党員」になることが唯一の「出世」方法ではありません。あくまでも「保険」として、自らの希望を実現していくためのリソースとして位置付けるのが通常と思います。イデオロギー的に染まるとかではなくて、「ステータス」と「何かあったときのため」なのでしょう。
◆【紹介した映画について】
私の祖父がシベリア抑留されていたので、ロシアの戦後の話は興味があります。祖父の
抑留の回顧録が北海道新聞に掲載されたこともありました。相当すさまじいものがあ
ります。ビデオは強行的なのでしょうか。私はみんなに見てほしいです。(学部三年)
⇒授業で紹介したのは「樺太」のものでシベリアのものではありませんが、ロシアの動きを暑かったものとしては興味深いものです。希望者が20名を超えましたので、上映会をおこないたいと思います。尚、学生さんのイベントとして上映会をされる場合にはビデオをお貸しします。
◆【そのほか】
先日の北海道新聞に「今までは台湾などとの友好を深めようとしていたのに、SARSが
発生した途端に台湾などからの観光客は受け入れないようにしている業者(ホテルなど)
が多い、ということに対して台湾は不快を感じている」という記事がありました。こういった
不快感は、これからの台湾と日本との関係においてやはり悪い影響を及ぼすことになっ
て行くのでしょうか。 (学部三年)
⇒台湾側は不快を露にしています。しかし、「しかるべくして出てくる不快、不満」というものはあるものです。「理屈としては日本側の対応を理解できても、台湾人としては受け入れられない」といった不満、不快感というものは、仕方ありません。こういうものが出てきた場合、「腹を据えて」話を聞き、相手の主張で行きすぎた部分は修正し、日本のマスコミの対応の問題や妙に病気に敏感に反応する日本人の気質など納得できる部分はうなずくことです。やってはいけないことは、全否定したり、逆にむやみやたらと相手の不快を解消しようとすることだと思います。相手もわかっていて言わずにはいられないということもあります。そういう場合に、相手が妙に言うことを聞いてしまうと、逆に引っ込みがつかないということがあります。7月に台北-新千歳便を復活させるとエバー航空が発表しました。酷暑の台湾から避暑に来たいわけですね。北大法学部にも、秋から新しい交換留学生が3人台湾大学からやってきます。こうした「ポストSARS」の時期の観光、交流が重要になります。SARSの後遺症で一種の差別や偏見が出てしまうとそれがより一層大きな問題になるでしょう。SARSの問題を共有したわけですから、どちらかが恐怖をもたらす者と特定はできないはずです。問題はこれからではないか、というのが小生の考えです。
項羽や劉邦や三国志の話で具体的にどのような部分が同じだというのでしょか。たとえ
ば、毛沢東の長征は劉邦の漢中の奥、南鄭へ追いやられるのと似ていると思います。
項羽と劉邦や三国志に非常に関心のある僕としてはとても興味深いです。ただ、現代
の中国と三国志はほとんど別物のように感じます。当時は武士と名士の対立が潜在的
にありましたが、(曹操と儒教グループの対立)いまそれに類似する対立はありますか。
ちなみに僕は孔明様とか、関羽様というようなある意味での信仰心のようなものはもっていません。(学部三年)
⇒そうですね。そこまで具体的に何と何が同じというのではないのです。たとえば「中国分裂」のイメージを言う際に、三国志を念頭においたり(日本の中国に対する軍閥割拠的なイメージ形成と三国志の民間への普及は同時平行的に進んだものでした)、時に南北分裂を言うときには項羽と劉邦の話を引いたりします。また、権力争奪をめぐる人間関係、権謀術数をめぐらすというイメージ、そして時に礼儀が重んじられることなど、あらゆる政治的場面での中国人的行動原理を説明する引照基準として三国志が出てくるということです。日本人の中国観、中国人イメージ形成と密接な関わりをもっていて、その影響力のあまりの大きさのために、小生としてはややネガティブなものとして見ているのです。
台湾・ウイグル・チベットなどが分散する可能性の問題について、中国政府がこれらを手放すはずはないと思いますが、これらの地域は独立する気運はあるのでしょうか。民族・歴史の違いなど要素はあるように思えるのですが。また、ありえないことだと思えますが、もし連邦制になるのなら結局は独立へとつながっていくことになると思います。
(学部三年)
⇒第5回の質疑応答を参照下さい。
http://droit.juris.hokudai.ac.jp/~shin/04/asisei2003/03asisei-ques5.html
ただ連邦制なら結局独立かというとそれは難しい問題だと思います。中国ではかつて「聯省自治」といって連 邦制が模索されたことがありますが、これは各省の権限を強化しようとするもので、決して「中国」を否定するものではありませんでした。EUなども統合されることで逆にEUの意識が強まるように、たとえば台湾や香港、台湾などもいれて連邦制を構想した場合、逆に「中国」が強化されることも考えられます。
日本海の名称の問題について川島先生のご意見を御聞かせください。たかだか海の名前ですが、この問題にどのような背景があるのか興味深いです。(学部三年)
⇒まず基本データから。
(1)日本海呼称問題 についての外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nihonkai_k/index.html
(2)日本海呼称問題に関する韓国の新聞記事データベース
http://members.tripod.co.jp/koreawatcher/docs/seaofjapan.htm
(3)日本海問題リンク集(日本側) http://www.geocities.co.jp/WallStreet/4076/link/japan.html
(韓国側) http://www.geocities.co.jp/WallStreet/4076/link/korea.html
参考文献として手ごろなものに、先日亡くなられた古厩忠夫先生の『裏日本―近代日本を問い直す―』(岩波新書 1997年)があります。さて、こうした基本的なところをおさえたうえで、小生なりの見解なのですが、結論的に見て「日本海」という呼称に韓国側がクレームをつける余地は十分にあるということは言えると思っています。まず、「呼称」というものは、「支那」問題に見られるようにナショナリズムなど政治的なコンテキストの中にある最も象徴的なものであり、客観的呼称などというものは殆どないということです。まずは、日本海もまた政治的なコンテキストの中にある呼称であることを確認してください。しかし、こうした言語や社会集団によって多様に設けられるべき「呼称」について、「国際社会」なるものが「権威」を与えて地名を確定しようとしたのが「近代」なわけです。従来、欧州の古地図や東アジア内部の古地図で、その海が何と呼ばれていようとも、それらは共存可能であったわけですが、近代になると地名呼称に正統性を付与して「正名」を決めようとしたわけですね。当然、そこには「日の暮れない帝国」であるイギリスの以降も含め、パワーが反映されたわけです。二百海里水域などの概念がない当時、たとえ公海であっても自らの歴史などにちなんだ名前をつけることが一つの課題とされてきた側面があります(現在の国連にも地名標準化会議があります)。しかし、だからといって、世界的に関係が緊密化した近代社会に、共通の呼称が無いというのも不便なことではあります。ですから、近代にはいって「正名」を決めることは必要であったと考えています。次に問題となるのはそのプロセスなわけです。恐らく、過去の地図をいろいろ検証すれば「日本海」のほうが「一般的」でしょう。しかし、このような説明では韓国側は納得しないものと考えられます。前述のように、19世紀後半から20世紀初頭の時期は所謂「列強」が世界を闊歩した時代です。呼称の決定にはそのパワーが色濃く反映されます。インド人は「インド」のことをインドと言っていたわけではないのに、インドとされ、インド洋という呼称が一般化してしまったことを考えれば明らかでしょう。日本は、1904-1905年の日露戦争における「日本海海戦」での勝利で「日本海」を国際的にアピールすることに成功するわけですが、この呼称確定期間に韓国はまさにその日本によって植民地化される過程にあったわけです。日露戦争による勝利は、「日本海」と呼ばれる海における日本の対ロシア優位性を決定付けましたが、そこに本来ならば調整対象であるべき韓国は発言することができなかったわけです。この一種の「手続き的」「歴史的」経緯が問題なわけです。この海が「日本海」と呼ばれていることは、依然として日本近代の「拡大」「膨張」を示すものとして受けとめられてしまうわけです。同時に、東アジアでは、「東シナ海」「南シナ海」といった方向と国名?を組み合わせた呼称があり(中国では東海、南海と言う)、それが領土問題や経済水域問題とからみ、海の支配の論理と結びつく面があります。そうした意味で、ウツルン島、竹島の領有を主張し、漁業権を保持・拡大しようとする韓国にとって、「日本海」という呼称は決して歓迎できるものではないわけです。日本は南北に長く、太平洋という陸の無い海を東側に持っています。それに対して韓国も中国も、日本によって「封鎖」される格好になっていて、太平洋への出口を得られません。そうした地政学的な観点からも、中国や韓国が「海の囲い込み」をおこなおうとすることが理解できます。先に韓国がクレームをつける理由は理解できるとしたのはこのような背景があるからです。なお、韓国が最近になって国連でこの問題を提起したことについて日本側は「なにをいまさら」というところがあるようですが、こうしたことは自らへの自信の高まりや、ナショナリズムの動向に関わることですから、「いまさら」ということはないと思います。しかし、韓国の主張を通して「日本海」を「東海」とかえれば問題が解決するとも思っていません。問題は、日本側として、これから韓国とどのような付き合いをしていくつもりかということです。はっきりと物を言い合いながら、信頼関係を築く、これが理想でしょうけれども、そうであるとしたらこの問題をどのように処理するでしょうか。テーブルについても御互いの主張を繰り返すだけにならないようにするにはどうするべきか。まずは将来像と、コンセンサス形成への方法を考え、あわせて古厩先生の提案のようにさまざまな可能性を模索することが必要であると思われます。
韓国と台湾はどのような関係にあるのですか?(学部三年)
⇒この問題については、大学院修士二年の佐々木慎吾君が研究しています。小生のHPの学生欄にEメイルのアドレスがありますから、時間のあるときにでも聞いてみてください。簡単に紹介しておくと、1992年の国交断絶以来、関係は芳しくありません。経済関係も密接とは言えない状況にあります。かつては合同軍事演習をした仲なのですが、最近ではそうした安全保障方面の同盟意識もあまりありません。共通の仮想的を想定できないためでしょうか。また、韓国の中枢にいるチャイナロビーはほとんどが台湾留学組なものの、ほとんどが国民党と関係が強く、民進党との関係がうすいことが指摘されます。しかし、この点は日本も同じであり、あまり理由にならないかもしれません。断交後10年間の両国関係を見ていると、これは日本と比べてということですが、やはり民間で有れ何で有れ、何かしらの交渉チャネルを残しておくべきであったと思われるのです。日台は交流協会と亜東関係協会が窓口となって、実質的な「外交」「通商」をおこなっていますが、こうした窓口を韓国はつくろうとしなかったのです(ソウルに台湾の代表部はあります)。この10年間、李登輝時代に章孝厳が韓国を訪問して関係構築を図ろうとするなど、動きがあったのですが、まだ本格化していないようです。台北の南京東路にあった大韓航空の事務所のガラスが割られ、職員が引揚…いまもまだ封鎖中かと思います。中華航空が大陸に行くこの御時世、ソウルに行かないというのは、些か奇異ですが、日本統治時代も朝鮮半島と台湾の関係は悪かったとされ、また中国の正統ではない台湾を下に見ようとする韓国と、韓国をやや下に見がちな台湾との間の溝はなかなかうまらないかもしれません。両国が、それぞれ中国的な名分論などを離れて地域研究的に世界を見ることができるようになれば(たとえば台湾に外国語大学ができてそこに韓国語学科がつくられるなど)、状況はかわってくるかもしれません。「中国」的な「名分論」は中国の周辺で出てくるものと実感します。…ただ、韓国のドラマや音楽などソフトカルチャーを愛でる「韓風」は台湾にも上陸しています。
中国人は同じ漢民族と言っても、北部と南部では気候・食文化が異なるので、気質も相当違うのでしょうか。また以前、現在の日本人の平均身長が中国人のそれを上回ったことがわかりショックを受け、中国の新聞は経済力をあげることが必要だと強調していたことを覚えていますが、実際のところ中国人は白人に負けないくらいの平均身長や体格のポテンシャルを秘めているのでしょうか。また、南部や北部で同じ漢民族でもそれらに違いがあるのでしょうか。
(学部4年)
⇒世界各国の平均身長体重などはhttp://www.kurabe.net/average_height/ を見てみてください。
2000年のデータですが、中国人男性の平均身長は169.7センチ、女性は158.6センチ、体重は、男性平均が67.7キロ、女性平均は59.6キロ。日本人の平均身長は、2002年の17歳平均で男子が170.7センチで女子は157.9センチです(高校の身体検査結果ですね)。ただ、中国国内を地域別に見ると、山東、北京、天津、内モンゴル、遼寧など北方地域の成年男性の平均身長は171センチ以上で、逆に雲南、広西、貴州、海南など南方地域の成年男性の平均身長は168センチル以下であったとのことです。現在、日中間に体格差はほとんど認められないというのが実状です。中国国内で見た場合、南北差があることは明かです。北が大きく、南が小さいのです。もともと「騎馬民族」であった北方系と、東南アジア諸民族に連なる南方の漢民族との体格差があることは自明でしょう。それを「漢民族」とまとめているところに本来は無理があるのですが、民族概念というものはそもそも近代になってから国家を形成するために、出てきた概念でもあり、漢民族だけを批判することはできません。また気質についても、北のほうがすっきりしていて、南は粘着質といった言説もあり、北は乱暴、南が鷹揚で丁寧などという言い方もあります。ちなみに、日本は世界的に最も強力な労働者として知られた山東人の骨格にたいへん興味をもち、満鉄などを通じて積極的に人類学的調査をおこなっていました。
今年中に本を出すとおっしゃいましたが内容としてはどのような本ですか。
この授業と関連がある内容なのですか。(学部三年)
⇒いま19世紀末から20世紀初頭の中国外交史の本を書いています。博士論文を大幅に修正したものです。400字詰原稿用紙1500枚程度のものなので作業じたいなかなか大変なのですが、いま最終手直しです。このほかに、今年度中に二つ書かなくてはいけません。こちらはハンディなものになると思います。
■ 余談~北朝鮮がつくったとされるHPを除いて見ました。
これは北朝鮮の在オーストリア大使館がつくったものです。目的は、北朝鮮製品の販促なようですが、…北朝鮮の公式ホームページには「汎太平洋朝鮮民族経済開発促進協会」名で北京で開設された「朝鮮インフォバンクhttp://www.dprkorea.com」などがありましたが、これはネットショッピング用です。http://www.dprkorea-trade.com/
第十回講義のゲストスピーカー・池直美さんからの回答
I would like to first thank you for all your insightful and interesting questions. I’m not sure whether I can meet up to your standards, but I will do my best to answer the below questions with all honesty, and to be best of my ability.First of all, answer to question 1:
韓国での反日感情はとても強いという話はよく聞いていました。これから 日本と韓国が友好関係を築いていこうとするならどうすれば一番よいで しょうか。韓国人は日本人にどういうことを望んでいるのでしょうか。おそらく根強い反日感情を取り除くことはできないと思います。でも私たちに少しでもできることがあれば、それは何でしょうか。(学部三年)
⇒It is very difficult to say in so many words what Korean people exactly expect from Japanese people. In all honesty, I’m not too sure myself. However, I feel that it is important that we, the younger generation, try to come up with some way of dealing with the situation head on, rather than just regurgitate what the “older generation” have previously said. Like you said, it is and will be unbelievably difficult to try to turn the tides, and try to take away the anti-Japanese sentiments in Korea. However, I would like to leave you with some ideas as to how I think we can deal with this particular situation.
First of all, I think that President Kim Dae Jung’s “Cultural Policy” became a big stepping stone for cultural exchange between the two countries. It is expected that in Roh-Mu-Hyun administration will continue with the legacy of Kim Dae Jung’s above policy, but at this point in time, due to the security issues with North Korea, not much advances have been made in this area. Although Former Pres. Kim’s cultural policy did not completely open the doors to Japanese pop culture, by bringing in Japanese music, and some Japanese popular comic books, it gave the young Korean people to get in touch with “Japanese culture”, though popular, and it gave them a chance to get familiar with it. This familiarity in sense, is what I think the two countries needs. Also, the WorldCup games of 2002 also became an opportunity for these two countries to become more familiar with each other. Although these examples of cultural exchanges are only on the surface, it is a starting point.
Going back to question what do Korean people expect from Japanese people? Some people say they expect an official apology for the so called “wrongdoings” by the Japanese in the war. Some people expect more compensation from the Japanese government. Some people expect not only the government, but also the Japanese people to repay their “sins”. But the problem with asking what the Korean people expect is that, I think that the Korean people will keep on expecting something unless some drastic changes happen in the economic situation, where Korea meets, or exceeds the Japanese standard. Therefore, in short, it is hard to say in one word what the Korean people expect and what the Japanese people can do about it.
Lastly, as you asked, “what can we do to help the situation?” In my opinion, at the grassroot level, that is to say at our level, we can start by being open and being curious about Korea (of course this much go both ways) and if you want to go even further, come and visit and country and see for yourself what Korea is like, and tell your friends what you thought about the country. And, next time when you meet a Korean person, show them that you are yourself, not just as a representative of the Japanese country, but an individual, and if you treat them well and with respect, I think that this will show them that not all Japanese people are the same. In reality, many Korean students who go to Japan on exchange have come back to their country with a completely different impression on Japanese people.
「Bowling for Columbine」という映画の中で、「カナダでは多くの人が銃を 所持しているにも関わらず、発砲による事件はアメリカのそれに比べてはるかに少ない」と示されていました。何でもカナダは、アメリカや日本と異なり、マスメディアによる「恐怖の植え付けが無い(少ない)のでカナダの人は用心深くないからだとか。その用心深くない一例として、カナダでは家に鍵をかけない過程が多いということなのですが、これらのカナダに 対する言及は本当のことなのでしょうか。(修士2年)
⇒I haven’t seen the movie myself, so I cannot criticize the content of the movie, but I would like to just say few things about the nature of Canadian people, and their view on gun and gun control.
First of all, it is not true that people in Canada are less aware of their environment, and that the media does not instill “fear” in the people. Please tell me, WHO SAID THAT?” In Canada, half of the TV channels are American, such as CNN, ABC, NBC and etc. So, we Canadians see the same TV programs and news that Americans see in the States. So, the opinion above is not true.
Second, the idea that we do not lock our doors… Of course, if you go up North, way North where Indian tribes or Inuit people live, they do not lock their doors because its not in their nature to do so. However, people who live in the cities, and even in small towns have locks on their doors, and yes, we do lock them.
However, I would like to point out one thing before I finish. There are a lot less crimes in Canada than the States. One reason for that is their harsh regulations on gun. One cannot simply own a gun for self-defense, and the procedures to own one is very tedious. Also, one other reason could be that there are no “visible” minorities, and compared to the States, ethnic cleavages are lot less apparent. Of course there are more reasons, but I will finish this question as is.
韓国では首都ソウルの一極集中、また北朝鮮にとても近く、安全保障上の問題(北朝鮮と戦争になったら、ソウルは全滅するというようなことがお話の中にありましたが)で、首都移転の話がでたことはないのでしょうか。また慶尚南道という地域から大統領が出ている理由はあるのでしょうか。そして韓国では米軍基地はどの地域に多いのでしょうか。それとも全国的に分散しているということでしょうか。(学部3年)
⇒There has been talks about moving the capital to Daejon (1.5 hours away from Seoul by car), and as I had mentioned in the lecture, one of President Roh Mu-Hyun’s policy is to move the administrative capital to Daejon, during his administration. Many people say that this will be one of the most difficult tasks for the President, and whether it will happen or not, I’m not quite too sure, but in any case, the President is working on it.
It’s hard to say in one word why all the past presidents are from the same province. However, as far as Park Chung Hee, Chun Doo Hwan, and Roh Tae Woo consecutively succeeded each other was because all three were generals in the army, and are from the same school. In other words, they were a part of an army faction. Lastly, with respect to army bases in South Korea. There are army bases all across the country. One of the biggest one is called Yongsan, which is in Seoul, but there are few bases in all major cities. If you are interested in the exact locations of the bases, please let me know, and I will be glad to send you a map. ^^
Let me thank you again for your interest in Korea and in Canada, and please feel free to contact me to ask more questions. Good luck on your future endeavors, and hope to hear from all of you again soon.