拙著『中国近代外交の形成』(名古屋大学出版会、2004年2月)の刊行に寄せて
(A5判・上製・712頁・本体7000円)
長々とかかった拙著がようやく名古屋大学出版会から刊行されました。本書は博士論文をベースとしていますが、かろうじてその原型をとどめているといった程度にまで大幅に加筆修正を加えたものです。そして、本書は論文集というよりも全体としてひとつのテーマを扱っている側面があります。なお、雑誌論文などで公刊した部分は全体の3割前後かと思われます。
筆者は、中国外交史研究をおこなってきましたが、本書に書いたような自分の仕事の「本丸」は、これまでなかなか外に出さず、外縁にあたる国名研究や档案紹介、あるいは台湾に関することなどを活字にし、最近ではラジオ史などにも手を出している始末です。「本丸」を潜水艦のようにして沈めておいたのは、まとめたかたちで浮上させようと思ったからなのですが、いかんせん図体が大きいのと、また筆者自身の怠慢があり、なかなか浮上できませんでした。
本書のモチーフは、「あとがき」に簡単に記してあります。カバーにある、外交官たちがおこなってきた外交を歴史的に受け止めることを心がけたつもりです。しかし、これで完成、というのではなくて、とりあえず今のところは「ここまで」というところで活字にしました。そうした意味では未定稿で、むしろ今後議論を深めていきたい論点を提示したともいえます。
価格は7000円ですが、トヨタ財団および日中友好会館からの助成でここまでおさえられました。
今後、中国の外交についていろいろなかたちで議論させていただければ幸甚です。
2004年2月22日
川島 真
〔章立て〕
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0476-1.html
〔購入など案内〕
http://www.unp.or.jp/frame2.html
http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=04008305
〔誤植修正〕
(1)579頁 注記48 駐日代理行使 → 駐日代理公使
(2)657頁 後ろから5行目 陳慈五先生 → 陳慈玉先生(陳先生にはお詫びのメイルを出しました)
(3)参考文献28頁 頼澤涵先生の論文の位置